社交ダンスと競技ダンスは何が違うの?どんな種目がある?
社交ダンスと競技ダンスは何が違うの?どんな種目がある?
社交ダンスと競技ダンスの違いは何?
ズバリ、ダンスの「目的」が違います。
二人で踊ることは共通していますが、目指している物、楽しみ方が違うということです。
最初にネコダンサーが言ったように、社交ダンスと競技ダンスは同じダンスです。
しかし、どのように楽しむか、社交ダンスで何をしたいかという目的の違いで、元々の目的としての「社交ダンス」か、そこから進化したスタイルである「競技ダンス」かに分かれるのです。
まず、それぞれの特徴をみてみましょう。
社交ダンスとはどんな踊り?歴史と種目
パーティーのような「社交」の場で、相手を決めずに踊る「社交界の踊り」です。
基本は男性が出席者の女性を踊りに誘い、即席カップルとして踊ります。
女性は誘われたら断らないのがマナーです。
初めて会う相手もいますので、足型も決めずに、女性はリーダーである男性のリードに従うことが求められます。
社交ダンスは、英語では「Ballroom dance」(ボールルームダンス)と言います。
日本では「Social Dance」(ソシアルダンス)として広まりましたが、元は「Sociality Dancing 」(ソーシャリティダンシング)の『誤訳』から出来た言葉です。
最近では日本でも「ボールルームダンス」と言われることが増えましたね。
ボールルーム=舞踏室であることから、ワルツやタンゴなどのスタンダード種目を思い浮かべますが、ボールルームダンスの「ball」の語源は、ラテン語の「balare」(踊る)とも言われています。
社交ダンスの起源と日本への輸入
社交ダンスの起源は、12世紀のヨーロッパの宮廷舞踏と言われる程長い歴史を持ちます。
最初は皆が輪になって踊る「ラウンド ダンス」でした。
やがて「ラ・ボルタ」が登場し、カップルダンスが誕生します。
徐々に貴族たちの間で広まった社交ダンスは、ルネサンス期にヨーロッパで大流行します。
民衆の間に広がり、男女が向かい合って踊るようになったのが18世紀後半頃から。
しかし、19世紀頃にはまだ男女の接触が容認されず、上品な宮廷舞踏として取り入れられてはいたものの、特にイギリスでの偏見は強い物でした。
その後ビクトリア女王の時代に、女王がワルツを愛したことから、徐々に偏見が緩和され、ついにヨーロッパ全土でワルツが流行します。
とは言え、20世紀になってもイギリスでは強い偏見が残っていましたが、それまでのつま先だけで踊るスタイルから、踵から歩いて踊る優雅なスタイルに進化させたことにより、遂にイギリスで競技ダンスのスタイルが確立されるまでになりました。
日本人の社交ダンスデビュー
いよいよ日本へも社交ダンスが入ってきます。
明治10年代も後半になり、鹿鳴館時代に外交を必要とする上流階級が、ウィーンの社交界スタイルのダンスを取り入れたのです。
その後神奈川県横浜市の鶴見花月園が開設されると、1939年の第二次世界大戦前まで、富裕層を中心に流行しました。
しかし、1945年に終戦を迎えると、進駐軍向けにダンスホールが多数開かれ、今度は庶民も訪れるようになりました。
社交ダンスのパーティーで踊る種目はどんなものがある?
社交ダンスには、スタンダード、ラテンそれぞれ5種目あります。
貴族のドレスのような丈の長い衣装のスタンダードは、ワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クィックステップ、ヴェニーズワルツ(ウィンナーワルツ)の5種目。
対して、丈の短い衣装で激しく踊るラテンアメリカンは、ルンバ、チャチャチャ、サンバ、パソドブレ、ジャイブの5種目。
このうち、社交ダンスのパーティーで踊られるのは、スタンダードからワルツ、タンゴ。
ラテンからはルンバ、チャチャチャが多いです。
パーティーにおいては、所謂社交ダンス教室ではあまり教えてもらうことのない、ジルバやマンボも踊られます。
ジルバはクィックステップの曲で、マンボはチャチャチャの代わりなります。
また、スタンダードのスローフォックストロットの代わりにブルースが踊られることもあります。
これらは、教室で教えてもらえることもありますが、公民館や地区センターなどを借りて開かれるサークルに所属すると教えてもらえたりします。
ジルバやサンバはダンス教室の先生でも、習ったことがある人は少ないようです。
正式な社交ダンス種目には含まれていないからですが、ジルバはジャイブに近いですし、プロのダンサーなら、誰かが踊っているのを見ればすぐに覚えてしまうのですけどね。
ブルースはスタンダードの基本でもあるので、初心者が教室で教わることもありますよ。
競技ダンスはどんなダンス?階級や踊る種目は?
競技ダンスは、社交ダンスをベースに、よりスポーツ性を高めて独自に発展したダンスを言います。
スポーツですので、他のカップルとダンス演技における技術や芸術要素を競う場が設けられています。
ダンススポーツ選手権や競技ダンスの大会と呼ばれているのが、この「競技会」です。
競技会に出るために、特定の相手と組み、指導者に自分たち専用の振りをつけてもらい、完成度を上げるべくひたすら練習します。
この点が、社交ダンスとの大きな違いの一つとも言えます。
因みに、競技ダンスの大会でかかる曲は、種目がわかっているだけで、フロアに立つまでどんな曲がかかるかわかりません。
どんなに取りにくい音の曲でも踊れるように、あらゆる音楽で練習する必要があるのです。
競技ダンスには階級があるの?
あります。
ダンスを本職とするプロ部門と本職ではないアマチュア部門に分かれて大会が行われます。
階級は、団体によっても違いますが、ノービス級からD級、C級、B級、そして最上位級のA級へと条件をクリアしてランクが上がっていきます。
アマチュアはD級の下に数字級という1級2級3級がある団体もあります。
この場合、数字級で一番上手なのは1級です。
更にA級の中でも特に上手な、ごくごく一部の選手にはSA級が授与されます。
以前マツコの知らない世界に出演した織田組などはSA級でしたね。
また、アマチュア最高峰の競技会である三笠宮杯で昨年まで連覇していたスタンダード部門の小嶋組もSA級です。
競技ダンスで踊る種目は?
大会によって種目指定がありますが、スタンダード部門の予選ではワルツ、タンゴ、スローフォックストロット。
ラテン部門の予選ではルンバ、チャチャチャ、サンバの中から踊られます。
勝ち進んでいくと上記に加えクィックステップ、ラテンからはパソドブレが加わります。
そして決勝まで行くと更にヴェニーズワルツ、ラテンのジャイブが加わります。
しかも決勝の場では休憩なしの連続5種目を踊ることになります。
競技に出ず社交ダンスを楽しむなら、クィックステップやヴェニーズワルツ、ジャイブやパソドブレは踊れなくても困らないとも言えますね。
まとめ
社交ダンスと競技ダンスの違いについてのお話しでしたが、要約すると下記のようになります。
「社交ダンス」
・特定の相手ではなく、その場で会った相手と踊る。
・足型は決められていない。
・パーティーなどの社交の場で皆で交流を楽しむ踊り。
・ワルツ、タンゴ、ルンバ、チャチャチャが踊れればパーティーで楽しめる。
「競技ダンス」
・特定の相手が必要
・自分たちだけの振りを付けてもらえる
・スポーツとして、他のカップルたちと競い合う
・クラスが上がると踊れないといけない種目が増える
・スタンダード部門、ラテン部門どちらか一方だけしか踊れなくても良い
社交ダンスは社交の場で、交流を楽しむための踊り。
競技ダンスは、スポーツとしてダンスの技や表現、相手との一体感を競う踊りでしたね。
今の日本の競技選手には10代の有力選手が多数いますが、社交ダンス界全体としては、60代以降の層が大多数を占め、いつか競技が成り立たなくなるのではないかと危惧されています。
男女で踊ることに躊躇する方も少なからずいると思いますが、社交ダンスはとても綺麗で素敵な踊りです。
10種目あるので、きっと気にいる踊りや音楽が見つかりますよ!
衣装も豪華で、ドレスを着たくて社交ダンスを始める方もいるくらいです。
あなたも是非、お近くの教室に出かけたり、YouTubeなどで配信される競技会を観てみてくださいね!
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